【11/19番外編追加しました】辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
「旅先の情事などと思っていなかった。本当ならば戻らなければいけなかったのに、フェリーネと一緒に過ごすためにあの場所にとどまった」

その説明に私は何も言えなくなる。それが本当だったとしたら、どうして?
そう思うものの、この人は王子だったと思い出す。

どんなにこの人が望もうが、思い通りにならないことの方が多いのだろう。

「そうでしたか……」
少し冷静さを取り戻し、私が静かに言えば殿下はようやく顔を上げた。

「こうしてもう一度フェリーネに会って、冷静になれば、俺がいなくなった後、すぐに他の男と一緒にいたり、旅人を誰でも金のために誘ったりする女じゃないことぐらいわかる」

あまりの言葉に、私はつい口を挟んでいた。

「その報告がグレッグ様が?」

< 104 / 256 >

この作品をシェア

pagetop