【11/19番外編追加しました】辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
「ああ……。一番信頼していた友人でもあった彼の言葉だったから信じてしまった。それに……」
確かにすべてが嘘偽りだらけの報告に私も呆然としてしまうが、どうしてグレッグ様はそんな嘘を伝えたのだろうか。

初めて会った時の敵意むき出しの表情を思い出す。

「フェリーネ」
グレッグ様のことを考えていた私だったが、急に切ないほど甘く名前を呼ばれて驚いて顔を上げた。

「グレッグだからあの時信じたわけじゃなかった。怖かったんだ。あんなに愛したフェリーネが他の男と一緒にいる姿を見るのが」

“愛した”その言葉に驚いて目を見開いてしまう。

「今、フェリーネが俺のことを憎んでいることは百も承知だ。でも、フェリーネが平民だろうが、絶対に迎えに行く。そう思っていたことだけは信じてほしい」

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