【11/19番外編追加しました】辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
昔もこんな瞳を向けられたことはなかったかもしれない。二年前はただじゃれ合うように甘い優しい瞳だった。
そんな瞳にしばらく言葉を失っていたが、私は小さく何度か息を吐くと言葉を捜す。

「アレックス様はこの国にはなくてはならない人です。ふさわしい相手を国王様や王妃様が求めるのは仕方がないですよね? 本来ならば伯爵令嬢でも足りないぐらいでしょ?」
隣国の王女だって、公爵令嬢だって望めばいくらでも手を上げるはずだ。
それほど彼は優秀で才能も美貌も秀でた人だ。

「確かにな。ずっと結婚を避けて通ってきて、ほとんど女性との接点を持たなかった俺が、なんとなくフェリーネに似た面影があった気がして話した相手が伯爵令嬢だったんだよ。それを見た周りが勝手に仕組んだ話だ。俺は了承をしていない」
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