【11/19番外編追加しました】辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
私に美しいなんて言葉は似合わない。そう思って表情を歪めると、アレックス様はティーカップを置くと私を見る。

「フェリーネ、君は綺麗だ。どうしてそんなに自分を卑下するんだ?」

「それは……。私は醜いと言われたので……」
このタイミングで話すべきだ。きっとこの先本当にアンネの母としてアレックス様が望めば調査もされるだろうし、身分はわかってしまう。
それにそのことを伝えることで少しでもアレックス様と一緒に近くにいられるかもしれない、こうして時間を過ごすうちに自分がそれを望んでしまっていたことに驚く。

「誰がそんなことを。フェリーネのこの髪も瞳もすべてが美しいよ」
蕩けそうなセリフに本当にそんな気がしてしまう。それほど彼の言葉には力がこもっていた。

「ありがとうございます……」

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