【11/19番外編追加しました】辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
「ああ、まずは情報を精査しないといけないな。内密に兄上と父上との話す場を設けなければ。兄上に念書は送っておいたから準備は整えてくださっているはずだ」

その言葉にドキッとしてしまう。いったい王太子殿下に私たちのことをどう伝えたのだろう。
そんな私の顔には不安が滲んでいたのかもしれない。

「フェリーネ、大丈夫だから」
「はい、大丈夫です」
優しい瞳で言われた私は、彼の言葉に大きく息を吸って気合を入れる。
自分で行くと決めたのだ。守られるだけでは、逃げているだけでは何も始まらない。
父上とも、義理の母とも、そしてソフィアとも向き合うときなのだろう。

「じゃあ、行ってくる」
コレットさんたちに見守られ、私はアレックス様が魔法陣を描くのを固唾を飲んで見守っていた。
眩い光があたりを包み、無意識に抱いていたアンネを抱きしめた。
私の不安などよそに、アンネはそのキラキラと光る魔法陣に嬉しそうに手を伸ばした。

「おいで」
初めて目の当たりにする王族の魔力に呆然としつつも、私は差し出された手に自分の手を伸ばす。その中は温かくふわふわとした感じがして、とても心地がいいことに驚いてしまう。

「行くよ」
その掛け声とともに、きゅっとアレックス様が私たちを抱きしめた、そう思った時には目の前が真っ白になった。


< 169 / 256 >

この作品をシェア

pagetop