【11/19番外編追加しました】辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
第四章
どれぐらいの時間だったのか、数分にも感じたし、一瞬だったような気もする。
次に目を開いた時には、そこは今までいた城とは比べ物にならないほどの広さの部屋だった。豪華で美しい金の装飾に、真っ赤なビロードの壁。初めて見るその光景に驚いてしまう。
「無事についたな」
周りの部屋の様子に安堵したように言ったアレックス様に、ここが彼の部屋だということを理解した。
「殿下!」
すぐに気配を感じたのか、大きな両開きの立派なドアの向こうから声が聞こえた。
「トマスか? 入れ」
今まで聞いたことのないような、張りのある声でアレックス様が言ったと思えば、すぐに扉が開いて一人の男性が入ってきた。
王国のマントを翻し、身長はアレックス様より高い体格の良い男性だった。
「トマス、ご苦労。王太子殿下は?」
「もう、まもなくお時間を取られると思います。その前に私が」