【11/19番外編追加しました】辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
「アレックス様は?」

「俺は報告などやることがあるが、大丈夫だ」
病み上がりだというのに休めない彼が心配になってしまうも、私にそれを止めることなどできない。

「アンネ、夕食は一緒に食べような」
一心不乱に遊んでいたアンネを愛しそうに見ながら声をかければ、アンネは「あーい」と手を上げる。

「じゃあ、フェリーネ。また後で」
そう言って優しい笑顔を見せた後、アレックス様は私の手を取りそっと唇を落とす。

ただそれだけの行為なのに、私の心は乱される。二年前以上に頼りになり、立派なアレックス様。
これ以上気持ちを大きくしたくはない。自分だけが彼を愛してしまえば、寂しくなるのは目に見えている。

私たちはアンネの両親。それで繋がっているのだ。そう自分に言い聞かせる。

「おかーたま」
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