【11/19番外編追加しました】辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される

「ここでいい」

クラリスに声をかけると、アレックス様は静かに部屋へと入ってくる。

ドキドキと胸の音がうるさい。少しまだ濡れている髪は無造作にさらさらとなびく。

昔、体を重ねた時、このシルバーブルーの髪がとてもきれいだと思ったことが頭によみがえりそうになる。
私は慌てて思考を停止しようと、彼から視線を外した。

「あの、遅くまでお疲れさまでした」

何とか言葉を紡いだ私に、アレックス様は何も言わない。どうしたのかと思ってそろそろと顔を上げれば、なぜかアレックス様も視線を外していた。

「あの、お疲れですか?」
最近の激務により、やはり体調が悪かったのではないか、今日も話すために無理をしたのではないかと心配になる。
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