【11/19番外編追加しました】辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される

番外編

「フェリーネ？　アンネ？」

いつものことだが、フェリーネの朝は早い。
俺も一緒に起こしてほしい。そう伝えてあるのに、アンネとフェリーネはこっそりと音を立てないように部屋を出て行ってしまう。
それがフェリーネの優しさだとわかっているが、せっかく三人で眠っているのに、目覚めるのが一人というのはいささか寂しさを感じてしまう。

俺が起きたことを知った侍女が、ドアをノックして入ってくる。
「二人は？」
「食事をとられています」
このやりとりもいつものことだ。何度も起こしていいと言っているのに。
そんな思いを持ちつつ、着替えを終えて二人がいるはずの食堂へ向かう。その途中で楽しそうな声が聞こえてきた。

「おかーたま、おとーたままだ？」
「お父様はいつも遅くまでお忙しいの。起こしたらダメですよ」
「はーい」
少し不満げなアンネの声に、俺は苦笑する。どこまで言ってもフェリーネは優しく気遣いをする女性だ。
だからこそ好きになったのだし、妻にしたいと思った。

でも、もう少しわがままにもなってほしい。
それに、確かに最近は公務が溜まっていて、ゆっくりとフェリーネと話もできていないのだから、朝食ぐらい一緒に食べたいのに。
そんな思いを持ちつつ、食堂に入って行けばアンネが「おとーたま」と嬉しそうに声を上げる。
「おはようございます」
柔らかな笑みを浮かべて挨拶をするフェリーネが今日もかわいすぎる。
そして、アンネも天使だ。