【11/19番外編追加しました】辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される


「アンネ、明日からお父様を起こしていいよ」
フェリーネに言ってもこうなることがわかった俺は、アンネの前に座りながら声をかけた。
「ほんとう? 起こしていいの?」
キラキラとしたアンネの瞳に俺が大きく頷くと、フェリーネは少し困ったような表情を浮かべた。
「でも、お疲れではないですか? アンネは早起きですし」
「いいといつも言っているだろ?」
苦笑いしつつ言えば、彼女は「でも」と否定的な言葉を口にする。

「そんなに一緒に朝食はとりたくない?」
そんなことフェリーネが思っていないことなどわかっていたが、悲し気に言えばフェリーネはぶんぶんと首を振る。
「違います! 私はただお体が心配で……」
「わかっているよ」
ふわっと笑えば彼女は顔を赤くして、アンネの口にスープを運んだ。
「今日は昼前には終われそうなんだ」
忙しい毎日で家族と過ごせていないと文句を言った俺に、グレッグはしぶしぶだが時間を作ってくれた。
あの日以来、本当に忠誠を誓っているグレッグだが、相変わらず真面目で仕事熱心すぎるところが玉に傷だ。
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