【11/19番外編追加しました】辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される


「そうなのですか?」
パッと華やいだ笑顔を浮かべた後、フェリーネは少し恥ずかしそうに口を閉じた。
「ああ、だからアンネ昼からお父様と遊ぼうな」
目の前で一生懸命自分でパンを口に入れていたアンネは、俺の言葉に顔を上げた。
「おとーたま、ごめんなちゃい。今日はジェフと遊ぶのよ」
「え?」
まさか愛娘からこんなに早く断られると思っていなかった俺は、かなり衝撃を受けた顔をしていたのだろう。

フェリーネがクスクスと笑いながら、そんな俺に説明する。

「そうなんです。今日は乳母たちとグレッグ様のお屋敷に遊びに行くお約束をしているんです」
「そうか、いきなり俺が行ったら気を使わせてしまうな」
アンネだけならば用意もそれほどいらないだろうが、俺まで行くのは急すぎるだろう。
それをグレッグも知っていただろうに、どうして今日の時間を空けたのだろう。
そう思っていると、目の前のフェリーネがちらっと俺を見た。

「グレッグ様のお優しさかもしれません」
「え?」
「ですから、今日伺うのはアンネだけなのです」
フェリーネのその言葉に、俺は初めてその意味に気づいた。
グレッグのやつ……わざわざアンネを預かるように仕向けてくれたのだろう。

「久しぶりに出かけようか」
そう言えば、フェリーネは嬉しそうな笑みを浮かべた。
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