【11/19番外編追加しました】辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
Side フェリーネ
『俺たちが出会った時に着ていたような服にしておいて』
そう言ってアレックス様は出かけて行った。アンネはすでにグレッグ様のところへと出かけて行ってしまっている。
出会った時と言えば、レントオールにいたころのことだろう。少し悩んだあと、あの頃のようなシンプルなワンピースを用意してもらい、私はそれに着替える。
昔の自分がそこにいて、少し気恥ずかしくなる。
「奥様、とてもかわいらしいですよ」
着替えさせてくれていた侍女が楽しそうに言ってくれるが、かわいらしいなど母となったのにいいのだろうか?
そう思うも、アレックス様との二人きりで出かけられることで心が躍っている。
「用意はできた?」
そんな時、アレックス様の声がして私は急いで彼の元へと向かう。
「ああ、昔のフェリーネだな。かわいい」
ストレートなその言葉に私の顔は真っ赤だろう。いつもはアンネの父と母として振る舞うことに慣れすぎて、二人きりでアレックス様の笑顔はドキドキとしてしまう。
「さあ、行こうか」
「はい、あの、どこへ?」
この格好だし、お忍びで街の様子でも見に行くのかと思っていたが、アレックス様は外に出ると私に手を伸ばす。