辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
「今ならまだやめられる。本当にフェリーネの大切なものをいいのか?」
いつの間にか寝着ははだけ、素肌を彼にさらしている現実に気づいたとき、アレックスは静かに私に問う。
羞恥から顔をそらしたくもなるが、身体は浅ましくももっと彼に触れてほしいそう思っていた。
初めて感じるこの気持ちは、生まれてから一番幸せな気がした。
「お願いします……」
そう伝え、彼の頬に手を伸ばせば、アレックスは切なげに顔を歪めて私をギュッと抱きしめて耳元に口を寄せる。
何か耳元で囁かれるのと、彼が私の中に入ってきたのは同時だと思う。
その衝撃で彼の言葉を聞き返すことができない。焼けるように熱い。
「息を吐いて」
私をなだめるように、動きを止めて何度も髪を撫でながら口づけをしてくれる彼、私の体から力が抜けていく。
痛みがなくなるのを待って、アレックスはたぶんとてもやさしく抱いてくれたのだと思う。
そのまま、私はアレックスに抱きしめられたまま、眠りに落ちた。