辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
フェリーネが可愛くて、この小さな小屋で過ごすことが楽しくて。
つい、自分の身分も忘れて、「戻ったら」などと可能性の話をしてしまった。

そんなことが許されるわけもないのに。

彼女はとても賢い。きっと俺の言葉の意味もすべて理解したうえで、俺に頼んできたのだ。
それを断ることなどできただろうか?

そこまで振り返って俺は、自嘲気味な笑みを浮かべた。

フェリーネのせいにするなんて、なんて卑怯なんだ。俺がずっと彼女を自分のものにしたくて仕方がなかったのに。
抱いたフェリーネはとても美しく、そして華奢で、すべてを守ってあげたくなるほど愛しい。

これが成功したら、平民でも彼女とのことを許してもらう。
< 39 / 229 >

この作品をシェア

pagetop