辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
「そうなの……」
ソフィーではないとは言えない答えに、内心少しざわつくのを感じた。
万が一呼び戻されるようなことがあれば、アンネのことも知られてしまうし、また何を言われるかわからない。
それに、アンネは多分かなり強い魔力を持っている。そのことを知られては父や義母が何かを企むかもしれない。

それだけは避けなければ。楽しそうに遊ぶアンネを見つめると、私はギュッと自分の手を握りしめた。

「ねえ、誰かに聞けばその結婚相手ってわかるかな?」
どうして私がそんなことを気にするのかとロゼに思われるのは百も承知だが、アンネのためにも私は知っておきたかった。
少し驚いた顔をしたが、ロゼはニコリとほほ笑む。

「今度、王都から誰か来たら尋ねておくわ」
何も聞かずにそう言ってくれたロゼに、私は「ありがとう」と頭を下げた。

「おかーたま」
嫌な予感は当たってほしくない。私を呼びながら走ってくるアンネをギュッと抱きしめた。
この子だけは何があっても私は守る。そう誓った。
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