【11/19番外編追加しました】辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
「聞こえますか!」
名前がわからないので、呼びかけることもできず、私はただ心配そうに彼を見つめた。
「どうして?」
静かに問われた言葉の意味がわからず、私は黙って見守っていると、その人は意識が戻りつつあるのか、パチッと目を見開いた。
「生きているのか」
バッと起き上がり、自分の手を見つめながら信じられないという表情を浮かべる彼を見て、私はとりあえず安堵した。
「よかったです!薬草が効いたようですね。まだ万全ではないと思いますが、立てるようでしたらベッドへどうぞ」
薬草の調合部屋以外は、この場所しかなく、簡素な台所と二人座ればいっぱいになるテーブルと椅子、小さなベッドが視界に入る範囲にすべて揃っている。
「いや、もう大丈夫だ」
そう言って立ち上がろうとした男性だったが、ぐらりと体が揺れた。
「危ない!」
咄嗟に手を伸ばすも、とても支えきれるような体格ではなく、よろめきながら二人でベッドに倒れ込んでしまった。
彼の上に覆いかぶさるような格好になってしまい、私は慌てて起き上がり、謝罪する。
「すみません!」
「いや、こちらこそ迷惑をかけた。俺はアレックス。王都から買い付けに来たのだが、道に迷ってしまった」
王都から来たのなら、この辺りの地理には詳しくないのだろう。森に迷い込んだことに納得し、私はベッドに横たわる彼を見下ろした。
名前がわからないので、呼びかけることもできず、私はただ心配そうに彼を見つめた。
「どうして?」
静かに問われた言葉の意味がわからず、私は黙って見守っていると、その人は意識が戻りつつあるのか、パチッと目を見開いた。
「生きているのか」
バッと起き上がり、自分の手を見つめながら信じられないという表情を浮かべる彼を見て、私はとりあえず安堵した。
「よかったです!薬草が効いたようですね。まだ万全ではないと思いますが、立てるようでしたらベッドへどうぞ」
薬草の調合部屋以外は、この場所しかなく、簡素な台所と二人座ればいっぱいになるテーブルと椅子、小さなベッドが視界に入る範囲にすべて揃っている。
「いや、もう大丈夫だ」
そう言って立ち上がろうとした男性だったが、ぐらりと体が揺れた。
「危ない!」
咄嗟に手を伸ばすも、とても支えきれるような体格ではなく、よろめきながら二人でベッドに倒れ込んでしまった。
彼の上に覆いかぶさるような格好になってしまい、私は慌てて起き上がり、謝罪する。
「すみません!」
「いや、こちらこそ迷惑をかけた。俺はアレックス。王都から買い付けに来たのだが、道に迷ってしまった」
王都から来たのなら、この辺りの地理には詳しくないのだろう。森に迷い込んだことに納得し、私はベッドに横たわる彼を見下ろした。