【11/19番外編追加しました】辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
「あー?」
「ああ、アレックスだよ、アンネ。同じアだな」

自分で言って、なぜか嬉しさもこみ上げる。

「アレ、ちょうげんきになった?」
「ああ、アンネのおかげでとても元気になったよ」
そう言えば、アンネは嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。

「さあ、濡れたままでは風邪をひいてしまうよ。着替えよう」

俺たちの様子を固唾を飲んで見守っていた人々に目を向け呼べば、慌てて皆がこちらへとやってくる。

「アンネの着替えを」
「わかりました」
フェリーネはかなり不安げな表情で、アンネをギュッと抱きしめた。

フェリーネと話をしなければ。
「フェリーネ、」
「アレックス様」
俺が彼女の名前を呼ぶと同時に、後ろからグレッグの低い声が聞こえた。

振り返れば、かなり怖い顔で「これからのご命令を」と呟く。

兵の指揮が今は優先だ。
そう思いながら、俺はフェリーネたちを背に歩き出した。

いつまでも頭を下げる彼女を見て、昔とは身分が違うと彼女が理解していることを知る。
あの時のような笑顔はもう見ることがないのだろうか。

昔とは違う。

フェリーネにそう言われている気がした。

しかし、きちんと彼女と話をしなければ。俺はそう思った。

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