【11/19番外編追加しました】辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
自分があっさりとそんな話に騙されたのに、どうしてそんなことを言えるのだろう。

私は怒りから我を忘れて叫んでいた。
「私はアンネを身ごもってから体調が悪い日もたくさんありました。出産するときも、ずっと一人だったんです。それでもアンネを守ることだけを考えてきました。いくら殿下だからと言って、アンネを奪うことなんて許しません」

この国の王子になんてことを言っていると思うも、どんな罰を与えられたとしても、私からアンネを奪うことだけはさせたくない。

初めから泣いていたこともあり、泣き叫ぶように声を上げてしまった私に、隣の部屋からアンネの泣き声が聞こえた。

それにハッと我に返る。

「アンネ!」
小さくつぶやいて、私は急いで隣の部屋へ向かい、アンネを抱き上げる。

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