ラクガキ
 〜9年前〜
 「久保、後で職員室に来てくれ」
 ホームルームが終わり、最後に先生がそう言い残し教室を出て行った。
 「え?まじで」
 高校を入学して一ヶ月が経とうとしていた。俺は元々真面目とは言い難い性格をしている。だが教師に呼び出されるようなことはしていない、と思いたい。
 「えー、じゃあ健太来れないの?」
 今日は放課後クラスの友達とカラオケに行く約束をしていた。
 「先行ってて、後で合流するから」 
 「絶対来てよね!健太がいないと盛り上がらないんだから!」
 クラスのリーダー的女子がそう圧をかけてきた。
 そう言ってもらって別に悪い気はしないが、別に俺が居ようがいまいが大して変わらないと思う。
 「叶芽もそう思うよね」
 「う、うん。でも健太くん無理しなくていいからね」
 俺は女子とは怖い生き物だと思っている。怒らせた後のことを考えると…だめだ。さっさと先生の話聞いて合流しよっと。
 そう思い、友達と別れ職員室に向かった。
 「失礼します」
 職員室のドアを開けると先生は優雅にコーヒーを飲んでいた。
 「やっときたか。早速だが久保、西田の家に行ってプリントを渡してきてくれ。ついでに学校にくるようにそれとなく伝えてくれ」
  俺は頭の中が?だらけになった。
「なんで俺なんすか?」
いや、そもそも西田って確か不登校だろ?入学式にも出てなかったし、一度も会ったことのねえクラスメイトの家に行くのはちょっと…。
「なんでって、お前学級委員だろ?」
は?学級委員?あー、なんか川口が言ってたな。適当に決めといたって。絶対許さねえ、あいつ後で覚えてろよ。
「そっか、お前役員決めの時早退していなかったもんな」
「そもそも俺家知らねえし」
先生から1枚の紙を渡された。そこには住所らしきものが書いてあった。おい、これ大丈夫か?個人情報だろ。
「ま、よろしく頼む」
強制かよ…。
先生に貰った紙に書かれている住所を携帯のマップに打ち込み、目的地に向かった。
『目的地に到着しました』
マップの案内通りに足を運べば、スマホ特有の機械的な音声で目的地に到着した音声がなった。
「ここか…」



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