ひねくれた純愛 アイリスとカーライル
教授はグラスのワインを飲んで、
唇を湿らせた。
「私に・・
トラップをしかけても、意味がない。

君自身、今日の件はセクハラ行為である事は、わかっているだろう」

「もちろんです。」

教授の指先に、もっと力が入り、
テーブルクロスにしわがよった。

その態度を見て、
つい、からかいたくなってしまう。

「そんなに緊張しないで・・
でも、それもかわいいですけど」

教授は唇をかんでいる。
どう反応したらよいのか、
思案しているのだろう。

「君が敵なのか、味方なのか、
何を目的にしているのか・・・」

そこで、
教授は、赤ワインを飲み干した。

「その・・なぜ、私を挑発するのか、知りたい・・所長の差し金か」

「いいえ、それは違います。
所長は関係ないです」

俺の視線は、
耳もとで揺れるイヤリングに
吸い寄せられていた。

俺のつけた、赤い印が見つからない。

白粉(おしろい)でごまかして
髪型で見えないようにしたのだろう。
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