ひねくれた純愛 アイリスとカーライル
俺はこの教授に興味を持った。
この女をからかうのは、
暇つぶしになるし、おもしろいかもしれない。
「まずは射撃の腕を見たい」
教授は、視線を合わさないで言った。
射撃練習場は地下にあった。
「彼が射撃の専門教官だ。
指示に従いなさい。」
教授は控室の椅子に座った。
「ラングレーだ。
まず、ハンドガンだ。
標的を撃ってみてくれ」
背が高く胸板の厚い、
いかにも軍人とわかる男が声をかけた。
「カーライルです。わかりました」
俺はすぐにゴーグルとイヤーカフをつけて、狙いを定める。
バンバンバン・・・
自慢ではないが、射撃は得意な方だ。
全て標的の中央に当てた。
「たいしたものだな。
君には研修の必要がない」
ラングレー教官は顎に手をやり、
教授に手を振った。
「教授、こっちは問題ない。
すぐに終了証をだしますよ」
教授は表情を変えずに、うなずいた。
「私も、久しぶりにやってもいいかな」
教授が手を上げて、
ラングレーに許可を求めた。
「もちろんです。教授」
俺の目の前で、教授はゴーグルをつけた。
バンバン・・・・
標的の中央にすべて当てている。
俺より技術は上かもしれない・・
「お見事です。教授」
ラングレーが笑顔で手を叩いた。
「たまに練習をしないと、
腕がなまるな」
教授は抑揚のない、事務連絡のような小さな声で答えた。