ひねくれた純愛 アイリスとカーライル
女からの情報収集は、俺の得意分野だ。
自慢ではないが、
若い時から、女で不自由したことはない。

受付の女は情報通だろう。
俺は当たりをつけた。

「ミリー、ハミルトン教授って
ここの創設者だよね?
俺の指導教官のハミルトン教授っていうのは・・・関係者?」

「あら、知らないの?奥様よ」

俺のフォークからパスタが雪崩(なだれ)落ちた。

「正確には未亡人。
ハミルトン教授は1年前に亡くなったから」

「ほう・・未亡人なのか」

確かトーマス・ハミルトンは
研修所の設立者で、結構な年齢だったが・・・

俺は研修所の廊下に飾ってある
創立者のハミルトンの写真を思い出した。

「トーマス・ハミルトンと・・
相当に年齢差があるだろう。
娘といってもおかしくないが。
教授っていくつなんだ?」

東洋系は年齢がわかりにくい。

ミリーはパスタをつつきながら
「そうねぇ、今、
20代後半か30代前半ではないかしら?
彼女は外国人だから・・

出生年月日は不明なの、
本名もわからない。
名前も教授がつけたのではないかしら」

俺のにらんだ通り、
ミリーはここでは古株で
いろいろな事を知っていた。
< 7 / 40 >

この作品をシェア

pagetop