いっそ、君が欲しいと言えたなら~冷徹御曹司は政略妻を深く激しく愛したい~
高級ホテルの上層階にある天空チャペルでの結婚式。場所だけでも信じられないくらい豪華なのに、史織のために用意されたというウエディングドレスも、目を見張る美しさだった。
「旦那様がお選びになったのですよ。海外で人気のウエディングブランドの新作ドレスで、奥様のサイズに合わせるためにお直し期間が入ったので間に合うか微妙だったのですけれど、間に合ってよかったです」
史織が支度をしているあいだ、初めて会ったウエディングプランナーの女性は張り切って説明をしてくれた。
幾重にも重ねられた高級レースが作りだすドレープ。片方の肩で結ばれた大きなリボンが軽やかで、まるで羽でも生えているかのよう。Aラインドレスのトレーンは長めで、うしろ姿を引き立ててくれる。
さほど手をかけていないセミロングの髪は綺麗にまとめあげられ、後れ毛さえもかわいらしく巻かれた。
繊細で豪華なリバーレースをふんだんに施されたマリアヴェールは、髪を彩る花の飾りが隠れてしまってもったいないと思う気持ちを忘れさせる。
完成した自分のウエディングドレス姿は、我ながら「これがわたし?」という漫画に出てきそうなセリフが出かかった。
「お綺麗です。これでしたら、旦那様もご満足くださいますよ」
本当にそうだろうか。でも確かに、メイクのせいかいつもより大人っぽい気がするし、数十倍、いや、数百倍、上質で綺麗な女性にしてもらえたような気がする。
(なんて、自分で言ってたら自惚れだけど……)
それでも、こんな時くらいは自分に自信を持ってもいいのではないだろうか。
準備をしてくれたスタッフが花嫁用のブライズルームを出ていく。それを待っていたかのようにドアが開いた。
「用意はできたか」
泰章の声だ。ドキッとしつつも振り向けないでいると、プランナーの女性が応じる。
「はい、整いましたよ。烏丸様が驚いてしまうくらい素敵です」
両肩口を軽く支えられ、ゆっくりと振り返らせられる。トレーンが柔らかい絨毯の上で動き、彼の方を向いた時にはさざ波が足元に集ったような幻想的なラインを作った。
「奥様もですが旦那様も素敵。おふたりのお世話ができて光栄です」
「ありがとう。式の前に、少し妻と話がしたい。いいかな?」
「もちろんです。時間が近づきましたら、お声をかけに参りますね」
「旦那様がお選びになったのですよ。海外で人気のウエディングブランドの新作ドレスで、奥様のサイズに合わせるためにお直し期間が入ったので間に合うか微妙だったのですけれど、間に合ってよかったです」
史織が支度をしているあいだ、初めて会ったウエディングプランナーの女性は張り切って説明をしてくれた。
幾重にも重ねられた高級レースが作りだすドレープ。片方の肩で結ばれた大きなリボンが軽やかで、まるで羽でも生えているかのよう。Aラインドレスのトレーンは長めで、うしろ姿を引き立ててくれる。
さほど手をかけていないセミロングの髪は綺麗にまとめあげられ、後れ毛さえもかわいらしく巻かれた。
繊細で豪華なリバーレースをふんだんに施されたマリアヴェールは、髪を彩る花の飾りが隠れてしまってもったいないと思う気持ちを忘れさせる。
完成した自分のウエディングドレス姿は、我ながら「これがわたし?」という漫画に出てきそうなセリフが出かかった。
「お綺麗です。これでしたら、旦那様もご満足くださいますよ」
本当にそうだろうか。でも確かに、メイクのせいかいつもより大人っぽい気がするし、数十倍、いや、数百倍、上質で綺麗な女性にしてもらえたような気がする。
(なんて、自分で言ってたら自惚れだけど……)
それでも、こんな時くらいは自分に自信を持ってもいいのではないだろうか。
準備をしてくれたスタッフが花嫁用のブライズルームを出ていく。それを待っていたかのようにドアが開いた。
「用意はできたか」
泰章の声だ。ドキッとしつつも振り向けないでいると、プランナーの女性が応じる。
「はい、整いましたよ。烏丸様が驚いてしまうくらい素敵です」
両肩口を軽く支えられ、ゆっくりと振り返らせられる。トレーンが柔らかい絨毯の上で動き、彼の方を向いた時にはさざ波が足元に集ったような幻想的なラインを作った。
「奥様もですが旦那様も素敵。おふたりのお世話ができて光栄です」
「ありがとう。式の前に、少し妻と話がしたい。いいかな?」
「もちろんです。時間が近づきましたら、お声をかけに参りますね」