桜の花が咲く頃に、僕はまた君に恋をする。
第一章

encounter


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「桜木彗さん、好きです。」

「_____ぇ、?」





青空広がる高校の入学式。

突然、見知らぬ男の子に告白された。


春風になびく艶のある黒髪に整った顔、すらりとした身体で一目見れば分かるくらい、かっこいい人。


「え.......っと、ご、ごめんなさい.......ひっ人違いだと思います!!」


頭がパニックになっている中、それだけを言い放って全速力で走り出す。


やばい、やばい。恥ずかしすぎる。

何気に人生で初めてだったのに、その告白が人間違いだなんて入学早々ついてない.......!


とにかく人目のつかないところに行きたくて、校舎裏まで必死に逃げた。


「はぁっ.......はぁっ.......なに、今の.......ていうか誰!?」


見たことない人だった、多分だけど会ったこともない。

人違いだったとして、あの人は誰に告白しようと思ってたんだろう?私と間違えられるなんて.......その女の子が可哀想だ。

あんなかっこいい人が好きになる女の子だから、きっと私の何十倍も可愛い人なんだろうなぁ.......


息を整えながら色んなことを考えていると、すぐに予鈴のチャイムが鳴ってしまったので、今度は教室まで走り出した。




. ❁ . ❁ . ❁ .




「1年生の皆さんはこれから入学式があるので、放送が入ったら体育館シューズを持って____、」


チャイムの鳴る1分前に教室に駆け込んで、ギリギリ間に合った。

なんとなくみんなの視線が刺さったけど平静を装って窓側の一番後ろにある自分の席につく。

パタパタと手で暑くなった顔を仰いでいると、担任の先生らしき人が入ってきて高校生活最初のSHRが始まった。


「彗ー!高校でも同じクラスだよ〜っ」

「なずなっ、今年もよろしくね!」


SHRが終わってすぐに私の元へやってきたこの子は日野なずな、中学からの私の親友。

太陽の光でキラキラ光る茶髪にトレードマークのツインテールが可愛くて、明るい性格で昔から男女問わず人気がある。

1年は5クラスもあるから同じクラスになるのは難しいと思ってたけど、奇跡的に同じクラスになれて2人で抱きつき合いながら喜びを噛み締めた。


「そうだ、私先生に呼ばれてるから先行ってるね」

「うんっ行ってらっしゃい」


先生に呼ばれたってことは、新入生代表の話かな。

可愛い見た目して頭も賢いんだからちょっと羨ましい。たしか特色入試で成績トップだったんだとか。

顔は普通.......っていうかむしろ地味な方で、なずなみたいに他の人とうまく話せないし、取り柄なんて人よりちょっと勉強ができるくらいだけど、それもなずなには到底及ばないくらい。

そんな私からすれば、なずなは雲の上の存在みたいに思えてくる。





「.......桜木、さん。」


教室から出ていくなずなを眺めていたら、ふと隣から名前を呼ばれた気がした。

振り向いて瞳に映った彼は、確かに朝出会った“あの人”で。



「_________っ、!?」

「あはは、そんなにびっくりしなくても」




「隣の席、星奈春希(ほしな はるき)です。よろしくね」




隣の席は、確かに告白してきたあの男の子だった。
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