Trust
3年前に起きた飛行機事故によってなくなった母の愛花の変わりにあたしの保護者になってくれたのが、叔母の采花さんだった。采花さんはお母さんと8つも離れているせいか采花さんとあたしが並んで歩いていると少し不思議そうに見られてしまう。
母親とも姉とも言えない微妙な年齢差のせいだ。
どちらかと言うとあたしは姉のような感じがする。

そんな采花さんも今年で29歳になる。
そろそろ結婚してもおかしくない年齢なのにここ3年、あたしが来てから男の「お」の字も感じられない。
最近は本当に心配で、こっそり担当の江口さんに探りを入れているぐらいなのに。
ちなみに担当の江口さんと言うのは24歳の新人編集者で、今年から采花さんの担当になった女性のコトだ。
つまり、采花さんの職業は作家だ。
元々は普通のOLだったらしいんだけど、ふと思い付いて描いた小説がヒットしたので、それ以来本格的な作家になったらしい。
大抵家に居ることが多いんだけど、時々外に気分転換に出たり、江口さんと打ち合わせをするために会社に行ったりすることもある。
< 12 / 24 >

この作品をシェア

pagetop