Trust
「世良ぁー、今日の晩飯は何???」

椅子から立ち上がりながら、采花さんはあたしに嬉しそうに聞いてくる。
采花さんは、もちろん超不器用だから料理なんて作れない。
一度だけ、采花さんの手料理を食べたことがあったけど、とても食べられるようなレベルじゃない。

ちなみに、メニューはカレーだったらしいけど、あたしにはご飯の白とカレーのルーと思われる真っ黒い物体しか見えなかった。
カレーの具なんて何が何だか分からなかったし。
あたしが来る前はほとんど外食で済ませていたって、言っていた。

だから、今はあたしが居てくれて助かるとも言っていた。
そのぐらいしかあたしには恩返しが出来ないから、その言葉がどのぐらい嬉しかったのは言うまでもない。
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