Trust
夕飯を食べ終わったあと、風呂に入ってから部屋に戻ってきた。
もちろんお母さんのCDを持って。

封を切っていないCDを戸惑いながら開けるのは毎年のコト。

CDプレーヤーにCDを入れるだけなのに手が震えるのも毎年のコト。

でも、スイッチを入れて曲が流れるまでの間が一番緊張する。
あっ!曲が始まった。

耳に優しいメロディーが届いてきた。
久ぶりに聞く声は、さっきまで緊張していた体を一気に安心させてくれる。
思わず涙が出てそうになった瞳が涙の膜を薄っすらと張っていて、
零れないように耐えている。

必死に耐えた涙はあたしの頬を伝うことなく、瞳の潤いとなった。
そして、そのまま目を閉じるといつの間にかあたしはCDを聴いた状態で眠ってしまったらしい。

目を覚ましたときには、明るい日差しが部屋いっぱいに入り込み、
昨日きちんと乾かさなかった髪の毛が大変なことになっていた。
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