Trust
第一章

高校生活

ときは流れて、あたしは見事志望校の県立高校に入学した。県の中でもそれなりのレベルぐらいで、少し気が引き締まって勉強しないといけない。友達もそれなりにできたし、言うことは無いぐらい高校生活は充実していると思う。

「ねぇ、世良!」
授業が終わったばかりの教室の雰囲気を壊すように高校に入ってから仲良くなった富貴があたしの席に来た。
少し茶色の色素が入っている天然パーマの長い髪を激しく揺らし、綺麗なアーモンド型をしている瞳を吊り上げながら。
「何?急に」
「あんた!また告白断ったんでしょ!?」
形振り構わず来て、声を荒げて言うから何かと思ったらそのことか。

「松田君でしょ。気持ちは嬉しいけど、今は誰とも付き合う気が無いってちゃんと丁寧に断っておいたよ」
「そうじゃなくて、あれほどあたしが薦めておいたのに、断るってどうゆうことよ!!!」

前の授業の道具を片付けながら富貴の言葉を聞き流す。
机の上を片付け終ると、あたしはようやく富貴のほうに目を向けた。
「じゃあ、富貴はあたしが好きでもない人と付き合っても良いって思ってるんだぁ」
ちょっと意地悪言い過ぎたかな?
でも、彼女にはそれぐらい言わないとあたしの気持ちなんか分かってもらえない。
これは彼女と長年の付き合いだからこそ身についたことだ。
「思ってるわけ無いじゃん!!!」
「思ってないなら、いい加減にあたしの了承も受けないで紹介しないでね」
ハァっと小さく溜息を着いた。

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