クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「その。北の砦に向かうということだけは伺ったのですが。いつ頃お戻りになられるかということを聞くのを忘れてしまったので」
「そうですね」
ティメルは考える振りをした。本来ならば、今夜にでも戻ってくることができるような距離だ。何しろ、飛竜で行っているのだから。だが、あのデーセオはあちらの宿舎に戻ってきたとしても、この屋敷には戻ってこないだろう。
「恐らく、書類仕事が溜まった頃には戻ってくるかと。いいところ、十日が限度でしょうか」
「そうですか。旦那様もお忙しい方ですからね」
レーニスはティメルの含みに全く気付いていない様子。
あのデーセオが新妻に会いたくないからこちらに戻ることができない、というのは伏せておくべきであるとティメルは思っていた。会いたくない、というのは嫌悪感からくるものではなく、自分の気持ちが制御できないから会いたくないという意味であることをティメルは知っているし、デーセオはその気持ちがなんであるのかにさえ気付いていない。デーセオ本人は、元聖女候補であるレーニスを金で買い、自分の解呪のために利用するべき人間であると、心のどこかで思っている節があるらしい。それにも関わらず気持ちが制御できないことに戸惑っているのだ。
「そうですね」
ティメルは考える振りをした。本来ならば、今夜にでも戻ってくることができるような距離だ。何しろ、飛竜で行っているのだから。だが、あのデーセオはあちらの宿舎に戻ってきたとしても、この屋敷には戻ってこないだろう。
「恐らく、書類仕事が溜まった頃には戻ってくるかと。いいところ、十日が限度でしょうか」
「そうですか。旦那様もお忙しい方ですからね」
レーニスはティメルの含みに全く気付いていない様子。
あのデーセオが新妻に会いたくないからこちらに戻ることができない、というのは伏せておくべきであるとティメルは思っていた。会いたくない、というのは嫌悪感からくるものではなく、自分の気持ちが制御できないから会いたくないという意味であることをティメルは知っているし、デーセオはその気持ちがなんであるのかにさえ気付いていない。デーセオ本人は、元聖女候補であるレーニスを金で買い、自分の解呪のために利用するべき人間であると、心のどこかで思っている節があるらしい。それにも関わらず気持ちが制御できないことに戸惑っているのだ。