クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「なるほど。飛竜についてか。それなら書けそうだ」

 子供の作文かよ、と言いたいティメルだがその言葉を飲み込んだ。デーセオがそうやってレーニスと歩み寄ろうとする姿は悪くはないことだ。ただ、その歩み寄り方がおかしいだけで。

「ああ、そうだ。ティメル」
 羽ペンをまだ一行しか走らせていないにも関わらず、デーセオは顔をあげた。

「やはり、隣国の動きがどうもおかしい。何がおかしいかと問われると、まあ、答えられないのだが。嫌な予感がする、というか。まあ、なんとなくそんな感じだ」

 この上官は、そういうところがある。理論的ではなく直感的に物事を感じる力。この直感的な力が優れているから、このなんとなくを放っておくこともできない。

「わかりました。探りはいれさせます」

「頼む」

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