クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
 そのティメルは、デーセオが二日かけて書き上げた手紙を持ってレーニスの元へ訪れた。
「レーニス様、こちらデーセオ様からの手紙になります」

「まあ」
 ティメルはちょうどレーニスの勉強時間が終わった頃を見計らって、この学習室へと足を運んだのだ。
 ティメルから手紙を受け取ったレーニスも嬉しそうにそれを開け、中の便箋を取り出した。あの後、どうやらデーセオは便箋五枚も何かを書いたらしい。それをゆっくりと読み進める彼女の口元が緩んでいく様子に、ティメルは気付いた。そして余計に我が主を罵りたくなる。

「旦那様は、本当に飛竜のことが好きなのね」
 レーニスが微笑するが、それにはたった数回しか会ったことのないデーセオを想っていることが、ティメルでさえ読み取れた。

「レーニス様。もう少しこちらに慣れたら、飛竜舎にもご案内いたします」

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