クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
 ティメルの言っていることはもっともである。だが、デーセオは抑えられなかった。彼女を一目見た時に、この女性を自分のものにしたいと思った欲を。男の性ではない。彼女だから、彼女だったからこそ、そう思ってしまった。

「とにかく、一度お屋敷にお戻りください。溜まっている書類の山が無くなるまで、こちらに戻ってくることは許しませんよ」

 ティメルがピシャリと言う。だけど、ピシャリと口にしただけで、この主が動くとも思えない。

「それでも、俺が戻らないと言ったらどうする?」

 やはりこの主はそのようなことを口にしてきた。だからティメルも応戦する。

「私にだって考えはありますよ。いつまでもデーセオ様の言いなりにはなりません。デーセオ様が今のような生活を続けるのであれば、私はこの竜騎士部隊を辞させていただきます」

「お前……」

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