クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
 部隊長と呼ばれ、あの竜騎士部隊を取りまとめている男が、一人の女性に会う自信が無いと言う。
 ティメルは盛大にため息をつきたくなった。むしろ、ついた。

「そちらの書類を仕分けしてくださったのは、奥様ですよ」
 あえて名前を出さなかった。彼女が彼の妻であることを意識させるために。

「レーニスが?」

「そうです。あなた様がいつ戻ってきてもいいように、と。そうやって毎日、届いた書類を仕分けしてくださっていたのです。その中でも緊急のものを私がお届けしていたわけです」

「そうか」
 呟くデーセオの表情は、レーニスからの手紙を読んでいるときのそれと同じだ。

「奥様には会わずにあちらにお戻りになる予定ですか?」
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