クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「それは、あの魔術師を殺す、に決まっているだろう?」

「のわりには、のんびりしているように見えますけどね」
 そこでティメルはくるりと背を向けた。
「あ、そうそう、私の部下から連絡がありました」

「なに?」

 ティメルは振り返りもせずに言葉を続ける。
「どうやら、隣国サライトは港に大量の船を集めているとか。それに協力しているのが、島国のバクスタという噂です」
 それだけ言い終えると、ティメルは扉をパタンと閉めて出て行った。
 船。気になるところだ。海上の方まで飛竜を飛ばす必要があるかもしれない。そう考えながら、最後の一枚の急ぎの書類に押印を終えた。

 柱時計に目を向けると、日付はとっくに変わっている時間帯。この時間であれば、彼女もぐっすりと夢の世界に行っていることだろう。
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