クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「お帰りなさいませ、遅くまで大変ですね」

「いや、気にするな。それより、起きなくていいから、寝ていろ」

 身体を起こそうとする彼女を制した。

「仕事でこちらに来る必要があったからな。あちらに戻る前にお前の顔を見たくなった」
 デーセオの本音が零れた。レーニスの顔が見たかった。だけど、見られたくなかった。また矛盾する想いが込み上げてくる。それでもその気持ちを和らげてくれるのは、この暗闇でぼんやりとしか目の前の人物を認識できないような状況だからだろう。

「今日は、こちらで休まれるのですか?」

「あ、ああ、そうだな」
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