クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
 デーセオは突き刺さるような視線を感じた。はっと目を開けると、目の前にはレーニスの顔がある。

「おはようございます、旦那様」

「ああ、おはよう」
 挨拶を返すと、すっとレーニスの手が伸びてきて、デーセオの頬に触れる。

「やっと、旦那様のお顔を見ることができました」

 その言葉で今、彼女にその顔を晒してしまっていることに気付く。それでもレーニスは愛おしくその頬を優しく撫でている。

「お前は、俺が怖くないのか?」

 その言葉に、キョトンという表現が相応しいような表情をするレーニス。それからゆっくりと口元を綻ばせて。

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