クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「はい、怖くありません。旦那様がお優しいこと、存じ上げておりますので。それに、とても可愛らしい寝顔でしたよ」

 目の前のこの妻は女神の化身ではないのか、とデーセオは思った。いや、彼女が聖女候補であったことを理解しているつもりだが、デーセオにとってはそれ以上の存在だ。

「そうか。怖くないなら、顔を隠す必要は無いな」

「もしかして、私が怖がると思っていつも顔を隠されていたのですか?」
 レーニスはその手でデーセオの髪の毛をかき上げた。顔がくっきりと見えるように。
「とてもお優しい顔立ちをしておりますよ」
 そこでレーニスはデーセオの額に口づけた。呪いの模様がくっきりと表れているその額に。
 すると、そこがぱっと熱を帯びたように感じた。いや、デーセオ自身はこのように彼女に触れられて、全身が熱を帯びている状態ではあるのだが、特にその額が他のどの部位よりも高熱になった感じ。
< 150 / 318 >

この作品をシェア

pagetop