クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
 レーニスに触れたい。触れて、その唇を塞ぎたい。と思って、デーセオが彼女の肩に手をかけたとき。

「デーセオ様、ティメルです」
 扉のノック音と共に、優秀な部下の声が聞こえてきた。

「あ、ああ」
 デーセオが曖昧な返事をすると、がちゃりと静かに扉を開けてティメルが入ってくる。

「あ、すいません。お邪魔、でしたね」

 デーセオだってティメルの声を聞いたらすぐに姿勢を正したし、レーニスだってじっと前を見つめている。だからティメルが何をもってそう判断したのか、デーセオにはわからない。

「うぉっほん、そんなことは、ない」
 わざとらしく咳払いをしたデーセオであるが、心の中は動揺しまくりの汗をかきまくり。

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