クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
 彼女の言葉にデーセオもなぜか安堵する。彼女のことだから、民たちのためにあの神殿に戻りたいと言い出すのではないかと思っていたからだ。仮にそうなったとしたら自分は彼女をあきらめきれるのだろうか、と。

「ですが。困っている人がいるのであれば、力になりたいとは思います」
 それが彼女の本音なのだろう。間違いなく。

「でしたら」
 とティメルがそこでパチンと手を叩いた。二人きりの世界に水を差すかのように、ではなく私もいますよ、というアピールを込めて。

「デーセオ様と共に、領地を見て回ってはいかがでしょう?」

「領地を?」
 レーニスが聞き返すと「はい」とティメルは大きく頷く。

< 180 / 318 >

この作品をシェア

pagetop