クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
 集落から少し離れた場所、いつもの飛竜の場所に、飛竜で降り立つと、すでにその周りには子供たちが集まっていた。
 デーセオが飛竜から飛び降りると、レーニスに向かって両手を広げた。降り方がわからなくて困っていたレーニスだが、恐らく彼のその手に向かって身体を預けろ、という意味であると勝手に理解する。レーニスも同じように手を広げて、デーセオに抱きつこうとしながら飛竜から降りると、すっぽりと彼の腕の中にはまってしまった。

「領主さまー、おめでとうございますー」
「領主さまー」
「おめでとう」
「お嫁さん、見せてー」

 子供たちの可愛らしい声に混ざって、大人の冷やかすような声も聞こえてきたが、デーセオはそれにいちいち腹を立てるようなことはしない。相手は大事な民たちなのだから。ティメルやあの部下たちとは違うのだから。

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