クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「ああ。先日は、遠いところ結婚パーティに足を運んでくれて感謝する。今日、来たのはここの農作物を確認するためだ。今年はどうだ」

「お気遣い感謝いたします。ですが、情けないことに、今年もこの冬を乗り越えられるかどうか、というところでありまして」

「なるほど。備蓄している倉庫を確認させてもらいたい。それから、畑を見せてもらいたい。もちろん、帳簿もだ」

「はい」
 デーセオの言葉に素直に従うからといって、この長が不正していないとは限らない。だが、この集落は不正ができるほど豊かではないのだ。残念なことに。

 レーニスは黙ってデーセオの様子を見ている。デーセオが意見を求めればそれに応える程度ででしゃばるようなことはしない。帳簿を二人で確認したが、やはり不正を行ったような跡はないし、そもそも不正を行えるような数値でもない。
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