クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
 レーニスが長のその言葉に頷くと、実りの悪い畑に向かって両手を合わせた。いつ見ても彼女の祈りは美しいとデーセオは思う。傲り高ぶることなく、ただただ相手を思うための祈り。
 しばらくそうやって手を重ねて祈りを捧げていたレーニス。それを黙って見守るデーセオと長。

「終わりました。これからも精霊たちと仲良くしてください」

「ありがとうございます、奥様。その、奥様は聖女様でいらっしゃったのですか?」

 祈りを捧げたことでそう思ったのだろう。

「いえ、元聖女候補です」

「ですから、そのような聖なる力をお持ちなのですね。本当にデーセオ様は素敵な方と巡り会えたのですね。これはこれは、お二人の馴れ初めなども聞きたいところですな」

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