クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「あら。それは、私の方のセリフでした。この集落に、幸多からんことを」
 レーニスが言えば、長の顔も少し綻ぶ。

「本当に、デーセオ様は素敵な方と一緒になられた。我々も嬉しく思います」
 長のその言葉に満足そうに頷いたデーセオは、夕食でもと言われる前に逃げようと思っていたので。

「では、そろそろ戻る」

「せっかくですから、夕食をと思っていたのですが」

「夜の飛竜での移動は危険だからな」

「でしたら、泊っていってください」

「いや、明日は、朝から部隊の方に顔を出さねばならんからな」
 嘘である。しかも、今考えた、当たり障りのない嘘である。

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