クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「そうでしたか。お忙しいところ、わざわざこうやって足を運んでいただき、感謝いたします」

「いや。お前たちのおかげで、皆、生活ができている。こちらこそ、礼を言わせてもらう」

「ありがたきお言葉、幸せです」
 長がゆっくりと頭を下げ、そして再び上げるのを見届けてから。
「では、レーニス。帰るぞ」

「はい、旦那様」
 レーニスはデーセオが差し出した手を躊躇いもせずにとった。
 レーニス自身も不思議な気持ちだった。お金で買われたはずの彼に、このような穏やかな気持ちを持つようになるとは。いや、初めからデーセオとなら幸せになれるかもしれない、と期待していた部分はあったのだ。あの神殿で出会った禿エロ親父とは違う、温かさがあった。自分の顔を見たらレーニスが怖がるだろうからと必死で隠し、自分のことをエロ親父と言いながらレーニスに優しく触れてくる。
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