クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「あちらに顔を出したら、すぐに屋敷に戻る」
 とデーセオが宿舎に足を向けようとしたときに近づいてくる人影があった。もちろん、ティメルである。

「お帰りなさいませ、デーセオ様。無事にお帰りになられたこと、確認できましたのでどうぞさっさとお屋敷にお戻りください」

 いちいち突っかかる言い方をしてくる優秀な部下である。ジロリと彼を睨んで威嚇してみるが、このようなことで怯むようなティメルでもない。

「本当に、デーセオ様が真面目に仕事に取り組むようになって、私としてはレーニス様に感謝しかありませんね。そのレーニス様をお待たせしているんでしょう? だから、さっさとお戻りください」

 ぐぬぬ、と声にならない声を心の中であげながらも、反論できないところが悔しかった。

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