クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「旦那様、どうかされましたか?」

 ナイフとフォークを握りしめたまま、突然動きを止めてしまったデーセオを、心配そうな表情でじっとレーニスが見つめてくる。その表情もたまらなく天使だった。

「どうもしない。ちょっと、あ、あれだ。喉に、食べ物がひっかかってしまっただけだ」

「まあ、お気を付けくださいね」

「あ、ああ。そうだな」

 喉に食べ物がひっかかったというのは嘘。だけど、本当に喉元に何かがひっかかってしまったような気がするのは何故だろうか。恐らく、それは目の前に天使がいるからで。
 誤魔化すかのように、デーセオはグラスの中身を煽った。
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