クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「デーセオ様……?」
 恐らくティメルも今の会話から気付いたのだろう。
「この件は、陛下にも伝えるべき案件だと思うのだが」

「そうですね。ですが、陛下もこれに気付いていないとは思えないのですが」

「意図的に隠ぺいされている可能性もあるよな。陛下に謁見できるような人物は限られている」
 その言葉にティメルは頷いた。

 王城の門をくぐる前に、デーセオは身分証明書のような金の首飾りを見せる。これは、彼がこの国の騎士団の竜騎士部隊の部隊長である証。むしろ、この門番たちはデーセオとの顔見知りでもあるのだが、そうやった証明書を見せるのは儀式のようなものだ。

「デーセオ、様、でしたか」
 門番の男の一人が口にする。
「その、お変わりになられて、それが無ければ気付きませんでした」

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