クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「デーセオ様の結婚の報告にも関わらず、奥様であるレーニス様がいらっしゃらないからです」

「ふん。報告に来いとしか書いてないだろう。妻を連れてこいとは、どこにも書かれていなかっただろう」

「まあ、そうですが」
 だが相手はあの国王陛下だ。レーニスを連れてこなかったデーセオに対して、何かしら小言を言うはず。

「準備が整いましたので」
 と言う声に案内され、二人は謁見の間へと向かった。
 デーセオは国王とは顔馴染である。むしろ軽口を叩くくらいの仲である。だが、一応、形式はそれなりに守る。堅苦しい決まりきった文言が、国王就きの事務官から述べられ、「表をあげよ」という言葉を待って、二人は顔をあげた。

「久しいな、デーセオ。そなたとはこのような場所で堅苦しく語りたいわけではないからな。部屋を変える」
 という国王の一言によって、恭しい空気は終了した。
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