クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
 それを目にしたティメルは言葉を続ける。
「以前からあの神殿は、金持ちにしか……あ、失礼しました」

「いや、いい。そのまま続けてくれ」

「では、私の本音も交えながら。以前からあの神殿は、金持ちにしか聖女様の祈りを捧げていないということが噂されておりました。私が調べたところ、噂ではなく事実ということがわかりました。ですが、以前は、祈りを求める民たちをそのまま帰すことに気が引けるという聖女候補様が、その民たちの祈りを全て引き受けてくださっていました」

「一人で、か?」

「はい。差別なく祈りを捧げていた聖女候補様は一人です。あとは、聖女候補を含めあの神殿は、神官たちのいいなりですから」

 ふむ、と国王は顎をさすりながら考え込む。
「そういった情報は、こちらにまで流れてきていないな」

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