クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「なっ……。な、もう、デーセオ様。な、そのようなことを……」

 囁かれた言葉によって、羞恥で染まる顔を思わず手で覆ってしまうレーニス。
 まったくこれだからエロ親父は、とここにティメルがいたら、そう口にしていただろう。つまり、彼が囁いた言葉はそういった内容ということで。
 そんな彼は悪びれもせずに彼女が顔を見せてくれるのをじっと待っていた。だが、レーニスは顔を覆ったまま下を向き、その姿勢のままピクリとも動こうとしない。それでもデーセオはじっと待っていたのだが、これはまずいと、直感的に思ったらしい。
 そう、やはり自分が悪かったとデーセオは反省したのだ。

「すまなかった。お前を困らせるつもりはないのだ。その、そう、励まそうと思って、だな」

「でしたら。もう、二人きりであったとしても。二度とそのようなことはおっしゃらないでください」
 残念ながらレーニスは顔を隠したままだ。

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